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探偵の知識

相談中に利益相反が判明したら?

2025年11月19日

「若手弁護士が法律相談で困ったら開く本 」狩倉博之 2023年
ISBNISBN 9784313512108 C2032

A:利益相反が判明した時点で直ちに相談を中止する。 中止するにあたり、相談者に誤解を与えないよう適切な説明が必要である、

(I)法律相談の中止
 弁護士は、 依頼を受けて受任した案件との間に利益相反が認められる案件等について職務を行ってはならない(弁護士法25条、職務規程27条 ・28条)。法律相談中に利益相反が判明した場合、弁護士は当該相談に関する案件の依頼を受けることができないことは当然として、相談を行うこと自体が、受任している案件の依頼者の利益を害し、 職務に対する信頼を害する危険性が高いことから、利益相反の事実が判明した時点で 直ちに相談を中止するべきである。

(2)相談者に対する説明等
 相談者に対しては、利益相反が認められることを伝え、相談を行えないことを説明するとともに、 途中まで聴いた事実については守秘義務を負うこと(弁妻士法23条、職務規程23条) も説明し、無用な誤解を与えないようにする。
 なお、相談内容及び事実関係について多くを聴いてしまった場合、その程度によっては、受任している案件について職務を継続してもよいのかを検討しなければならなくなる場合がある。 でのような事態に陥らないためには、相談を始める前に相談者の氏名をきちんと確認すること、いきなり事実関係を詳細に聴くのではなく、まずは相談の大枠を癒き、相手方や関係者の氏名を確認した後に細かな事情を聴いていくなど、相談の初期段階で利益相反が認められないかを確認する工夫が望まれる。
(井上志穗・ 狩倉博之)