公訴|公訴提起に関する基本原則|国家訴追主義・起訴独占主義
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1)国家刑罰権の具体的適用・実現を目的として「公訴」を提起し追行する権限を公訴権という。法は「公訴は、検察官がこれを行う」と定めて(法247条),公訴権を検察官のみに付与している。狙罪被害者等私人ではなく国家機関である検察官が公訴を行う点で、これを「国家訴追主義」という。また、国家機関のうち検察官にだけ公訴権が付与されている点で、これを「起訴独占主義」という。検察官は「公益の代表者」(検察庁法4条)として公訴権を行使するのであり、北罪被害者等特定の私人の権利利益のみのために公訴を行うのではない。これは、刑罰権の適用・実現という刑事手続の目的(法1条)に由来する。
(2)現行法は私人による刑事訴追を認めない点で国家訴追主義を徹底しているが、起訴独占主義には二つの例外がある。その第一は、職権濫用罪について、裁判所の付審判決定により公訴提起の効果が発生する場合である(「裁判上の準起訴手続」という)。付審判の手続については刑事訴訟法に規定がある(法 262条~269条〔後記Ⅲ 3〕)。
第二は、検察審査会の起訴議決に基づく公訴提起である。司法制度改革の一環として 2004(平成16)年に改正された「検察審査会法(昭和23年法律147号)」の規定(平成16年法律62号)に基づく(同法41条の2・41条の6第1項・41条の9(後記Ⅲ 4)。
これらは、検察官以外の機関を公訴権の行使に関与させることにより、検察官の不起訴処分を制する制度である。検察官の独占する公訴権行使に後記2のような広範な裁量を認める現行法制のもとで、不当な不起訴処分に対する控制の機能を果たす。
(2)現行法は私人による刑事訴追を認めない点で国家訴追主義を徹底しているが、起訴独占主義には二つの例外がある。その第一は、職権濫用罪について、裁判所の付審判決定により公訴提起の効果が発生する場合である(「裁判上の準起訴手続」という)。付審判の手続については刑事訴訟法に規定がある(法 262条~269条〔後記Ⅲ 3〕)。
第二は、検察審査会の起訴議決に基づく公訴提起である。司法制度改革の一環として 2004(平成16)年に改正された「検察審査会法(昭和23年法律147号)」の規定(平成16年法律62号)に基づく(同法41条の2・41条の6第1項・41条の9(後記Ⅲ 4)。
これらは、検察官以外の機関を公訴権の行使に関与させることにより、検察官の不起訴処分を制する制度である。検察官の独占する公訴権行使に後記2のような広範な裁量を認める現行法制のもとで、不当な不起訴処分に対する控制の機能を果たす。