公判手続き|公判手続の関与者|裁判所|裁判所の構成
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1) 裁判機関としての裁判所の活動は、1人または数人の裁判官によって行われる(裁判員が関与する場合については後記(4)。1人の裁判官による場合を単独体、数人による場合を合議体という。最高裁判所と高等裁判所はすべて合議体で裁判する(裁判所法9条・18条)が、地方裁判所と家庭裁判所は原則として単独体であり、特別の場合、3人の合議体で裁判する(同法26条・31条の4)。
簡易裁判所は常に単独体である(同法3条)。刑事事件の第1審管轄は、原則として地方裁判所及び簡易裁判所に分配されているので、刑事事件の第1審は単独体で審理・裁判される場合が多い【第1審の事物管轄について第2編公訴第2章14)。
単独体の場合。1人の裁判官が同時に裁判機関としての「裁判所」を構成していることから、その活動・訴訟行為が裁判官としてのものか、裁判所としてのものかの区別に留意する必要がある(例、公判期日の指定[法273条1項]は裁判官、公判期日の変更[法276条1項]は裁判所としての行為)。
(2)地方裁判所の刑事事件で、合議体で審理すべき事件は、次のとおりである。
①法定刑が死刑。無期または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪に係る事件(裁判所法26条2項2号。ただし、強盗罪や盗犯等防止法の常習盗罪等を除く)。②刑事訴訟法において合議体で審判すべきものと定められた事件(裁判所法 26条2項4号)。これには、忌避申立てに対す決定(法23条1項・2項)。準起訴手続の審判(法 265条1項),裁判官の処分に対する準抗告の決定(法429条4項)等がある。③合議体で審判する旨の決定を合議体でした事件(裁判所法26条2項1号)。①②を法定合議事件、③を裁定合議事件と呼ぶ。特段の法的基準はないが、事案複雑等で合議体による審理・裁判にふさわしいと考えられる場合に裁定合議決定がなされている。
(3) 合議体は裁判長と階席裁判官で構成される。裁判長は合議体の機関として、訴訟指揮権(法 294条・295条等),法廷響察権(法288条裁判所法71条・71条の2等)等の権限を行使し〔後記4),急速を要する場合は、被告人の召喚・勾引・勾留(皿2)を行うこともできる(法69条)。これらの権限は、合議体としての裁判所の本来的権限を裁判長が代行するものである。これに対し、証人尋問,被告人に対する質問等は、陪席裁判官も行うことができる(法304条・311条)。
なお、開廷後合議体の構成員が代わった際に公判手続の更新(法315条)〔第5章V〕をしなければならない事態を避けるため、合議体の審理が長時日にわたることが予見される場合には、「補充裁判官」が審理に立ち会い,その審理中に合議体の裁判官が審理に関与することができなくなった場合において、あらかじめ定める順序に従い、これに代わって、その合議体に加わり審理及び裁判をすることができる(裁判所法 78条)。
(4) 裁判員裁判対象事件、すなわち、①法定刑が死刑または無期禁刑に当たる罪に係る事件及び②法定合議事件であって、故意の処罪行為により被害者を死亡させた罪に係るものについては、前記の定めにかかわらず、裁判員の参加する合議体で審理することとなり(裁判員法2条1項)。合議体の員数につい
ては、職業判官3人、表判員6人が原則である(同法2条2日木)(第6第1(1)。合議体構成員である裁判員は、証人尋問(同法56条)、被告人に対する質問(同法59条)等を行うことができる。
また、前記補充裁判官と同趣旨で補充裁判員を置くことができ、審理中に我判員の員数に不足が生じた場合に、これに代わり補充裁判員が裁判員に選任される(同法10条)〔第6章Ⅰ(2)〕。
15)合議体の全員が参加しなくとも可能な検証や裁判所外における証人尋問等については、合議体の構成員に行わせることができる。その裁判官のことを「受命裁判官」という(例.法12条2項・43条4項・125条・142条・163条・171条・265条等)。また、他の裁判所の裁判官に証人尋問等の嘱託をすることができる。その嘱託を受けた裁判官を「受託裁判官」という(法43条4項・125条・
142条・163条・171条・265条等)。
簡易裁判所は常に単独体である(同法3条)。刑事事件の第1審管轄は、原則として地方裁判所及び簡易裁判所に分配されているので、刑事事件の第1審は単独体で審理・裁判される場合が多い【第1審の事物管轄について第2編公訴第2章14)。
単独体の場合。1人の裁判官が同時に裁判機関としての「裁判所」を構成していることから、その活動・訴訟行為が裁判官としてのものか、裁判所としてのものかの区別に留意する必要がある(例、公判期日の指定[法273条1項]は裁判官、公判期日の変更[法276条1項]は裁判所としての行為)。
(2)地方裁判所の刑事事件で、合議体で審理すべき事件は、次のとおりである。
①法定刑が死刑。無期または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪に係る事件(裁判所法26条2項2号。ただし、強盗罪や盗犯等防止法の常習盗罪等を除く)。②刑事訴訟法において合議体で審判すべきものと定められた事件(裁判所法 26条2項4号)。これには、忌避申立てに対す決定(法23条1項・2項)。準起訴手続の審判(法 265条1項),裁判官の処分に対する準抗告の決定(法429条4項)等がある。③合議体で審判する旨の決定を合議体でした事件(裁判所法26条2項1号)。①②を法定合議事件、③を裁定合議事件と呼ぶ。特段の法的基準はないが、事案複雑等で合議体による審理・裁判にふさわしいと考えられる場合に裁定合議決定がなされている。
(3) 合議体は裁判長と階席裁判官で構成される。裁判長は合議体の機関として、訴訟指揮権(法 294条・295条等),法廷響察権(法288条裁判所法71条・71条の2等)等の権限を行使し〔後記4),急速を要する場合は、被告人の召喚・勾引・勾留(皿2)を行うこともできる(法69条)。これらの権限は、合議体としての裁判所の本来的権限を裁判長が代行するものである。これに対し、証人尋問,被告人に対する質問等は、陪席裁判官も行うことができる(法304条・311条)。
なお、開廷後合議体の構成員が代わった際に公判手続の更新(法315条)〔第5章V〕をしなければならない事態を避けるため、合議体の審理が長時日にわたることが予見される場合には、「補充裁判官」が審理に立ち会い,その審理中に合議体の裁判官が審理に関与することができなくなった場合において、あらかじめ定める順序に従い、これに代わって、その合議体に加わり審理及び裁判をすることができる(裁判所法 78条)。
(4) 裁判員裁判対象事件、すなわち、①法定刑が死刑または無期禁刑に当たる罪に係る事件及び②法定合議事件であって、故意の処罪行為により被害者を死亡させた罪に係るものについては、前記の定めにかかわらず、裁判員の参加する合議体で審理することとなり(裁判員法2条1項)。合議体の員数につい
ては、職業判官3人、表判員6人が原則である(同法2条2日木)(第6第1(1)。合議体構成員である裁判員は、証人尋問(同法56条)、被告人に対する質問(同法59条)等を行うことができる。
また、前記補充裁判官と同趣旨で補充裁判員を置くことができ、審理中に我判員の員数に不足が生じた場合に、これに代わり補充裁判員が裁判員に選任される(同法10条)〔第6章Ⅰ(2)〕。
15)合議体の全員が参加しなくとも可能な検証や裁判所外における証人尋問等については、合議体の構成員に行わせることができる。その裁判官のことを「受命裁判官」という(例.法12条2項・43条4項・125条・142条・163条・171条・265条等)。また、他の裁判所の裁判官に証人尋問等の嘱託をすることができる。その嘱託を受けた裁判官を「受託裁判官」という(法43条4項・125条・
142条・163条・171条・265条等)。