ホーム

探偵の知識

公判手続き|公判の準備|第1回公判期日前の公判準備|弁護人選任権等の告知と弁護人の選任

2025年11月19日

『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8

(1) 被告人の弁護人選任権,国選弁護人選任請求権、及び必要的弁護事件等について、裁判所は、次のとおり、被告人がこれを十分理解した上で権利行使ができるよう。権利の告知。教示をしなければならない。
公訴提起後、裁判所は、遅滞なく被告人に対して、①弁護人選任権があること、②貸困その他の事由により私選弁護人を選任できないときは、国選弁護人の選任を請求できること、③死刑または無期もしくは長期3年を超える拘禁刑に当たる必要的弁護事件については、弁護人がないと開廷することができないこと、を知らせなければならない(法272条1項、規則177条)。また,④公判前盤理手続に付した事件については、弁護人がなければ同手続を行うことができないこと、弁護人がなければ開延することができないことを知らせなければならない(規則 217条の5)。⑤即決裁判手続の申立てがあった事件についても、弁護人選任権・国選弁護人選任請求権の告知に加えて、弁護人がなければ同手続に係る公判期日を開くことができないことを知らせなければならない(規則222条の16)。いずれも、被告人に弁護人があるときはこの限りでない。
なお、国選弁護人の選任を請求できる旨を知らせるに当たっては、法の規定により弁護人が必要的とされている場合(法289条1項・316条の4第1項・316条の7・316条の28・316条の29・350 条の17)を除き、国選弁護人の選任を請求するには、資力申告書を提出しなければならないこと、及び資力が基準額以上のときは、あらかじめ、弁護士会に私選弁護人の選任申出をしなければならないことを教示しなければならない(法272条2項)。
(2) 被告人に弁護人がないときは、円滑な手続進行に資するため、裁判所は、次のような措置をとらなければならない。必要的弁護事件及び即決裁判手続の申立てがあった事件については、弁護人を選任するかどうかを、その他の事件については、国選弁護人の選任請求をするかどうかを確かめなければならない
(規則178条1項・222条の17第1項)。必要的弁護事件については、被告人に対し,一定の期間を定めて回答を求めることができ、また即決裁判手続の申立てがあった事件については、一定の期間を定めて回答を求めなければならない(規則 178条2項・222条の17第2項)。必要的弁護事件及び即決裁判手続の申立てがあった事件について、期間内に回答がなく、または弁護人の選任がないときは、裁判長は、直ちに被告人のため国選弁護人を選任する(規則178条3項・22条の17第3項)。国選弁護人は、原則として、裁判所の所在地にある弁護士の中から被告人ごとに選任する。被告人の利害が相反しないときは、1人の弁護人に数人の弁護をさせることができる(規則 29条)。