公判手続き|公判期日の手続|証拠調べの実施(その1)一証人尋問||証人適格
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1)「裁判所は、・・・・・何人でも証人としてこれを尋問することができる」(法143条)。原則として、証人適格はすべての者にある。ただし、法律上ないし解釈上、一定の例外がある。
(2) 公務上の秘密を保護するため、公務員または楽議院議員・参議院議員・内閣総理大臣その他の国務大臣等が知り得た事実について、法は明文で証人適格を制限している(法144条本文・145条1項)。しかし、いずれの場合も国の重大な利益を害する場合を除いては、その監督官庁、院、内閣は証人として尋問することの承諾を拒むことができない(法 144条但書・145条2項)。これらは相対的な欠格事由にとどまる。
(3) 証人は、裁判のための証拠を提供する第三者であるから、当該事件の訴訟手続に現に関与している裁判官及び裁判所書記官は、その地位のままでは証人適格がない。担当を離れれば証人となり得るが、それ以後は職務の執行から除される(法 20条4号・26条)。
検察官も,現に訴訟当事者の地位にある限り証人となることはできない。しかし、除床の制度はないので、公判立会の職務を他の検察官に委ねて証人となった後に再び元の職務を行うことは可能である(例,被告人を取り調べた検察官と公判立会検察官が同一人物である場合に、その検察官が作成した供述調書の任意性を立証するための検察側の証人として証言し、尋間終了後、再び公判立会検察官に復帰する場合)。
(4)被告人については、法が包括的黙秘権・供述拒否権を付与していることから(法311条1項)、原則として証言義務を負う証人の地位とは相容れず、その証人適格を否定すべきものと解されており、実務上も被告人が自己の事件につき証人となることを認めていない。当人が宣誓証言を希望する場合も同様である。もっとも,黙秘権は放棄可能であるから、法改正により被告人に証人適格を認め、被告人が自己のために供述証拠を提供する方法を、被告人質間ではなく、宣証言すなわち証人尋問の方法に純化することは可能であろう[第4編証拠法第4章Ⅳ 2]。
弁論が併合され審理されている場合の共同告人の証人適格についても同様であるが、共同被告人は弁論を分離し、当該訴訟手続における救告人の地位を離脱させれば、分離前の相談告人の事件につき証人として雰間することができる(最決昭和31・12・13集10巻12号 1629頁)〔第4編証拠法第5章V2(2)〕。
(5)年少者や精神障害害者であっても。証人適格はある。ただし、年少や精神の障害のため、これらの者が直接体験した事実を正確に知覚・認識し、記憶し、これに基づき口頭で表現・叙述する能力を著しくいている場合には、前提として証人に要求される証言能力がないから、証人とすることはできない。また。
証言したとしてもその供述に証拠能力を認めることはできない。これは裁判所が、個別的・具体的に判断すべき事項である(年少者の証言について、最判昭和23・4・17刑集2巻4号364頁等、精神障害者の証言について、最判昭和 23・12・24集2巻14号 1883頁参照)。
(2) 公務上の秘密を保護するため、公務員または楽議院議員・参議院議員・内閣総理大臣その他の国務大臣等が知り得た事実について、法は明文で証人適格を制限している(法144条本文・145条1項)。しかし、いずれの場合も国の重大な利益を害する場合を除いては、その監督官庁、院、内閣は証人として尋問することの承諾を拒むことができない(法 144条但書・145条2項)。これらは相対的な欠格事由にとどまる。
(3) 証人は、裁判のための証拠を提供する第三者であるから、当該事件の訴訟手続に現に関与している裁判官及び裁判所書記官は、その地位のままでは証人適格がない。担当を離れれば証人となり得るが、それ以後は職務の執行から除される(法 20条4号・26条)。
検察官も,現に訴訟当事者の地位にある限り証人となることはできない。しかし、除床の制度はないので、公判立会の職務を他の検察官に委ねて証人となった後に再び元の職務を行うことは可能である(例,被告人を取り調べた検察官と公判立会検察官が同一人物である場合に、その検察官が作成した供述調書の任意性を立証するための検察側の証人として証言し、尋間終了後、再び公判立会検察官に復帰する場合)。
(4)被告人については、法が包括的黙秘権・供述拒否権を付与していることから(法311条1項)、原則として証言義務を負う証人の地位とは相容れず、その証人適格を否定すべきものと解されており、実務上も被告人が自己の事件につき証人となることを認めていない。当人が宣誓証言を希望する場合も同様である。もっとも,黙秘権は放棄可能であるから、法改正により被告人に証人適格を認め、被告人が自己のために供述証拠を提供する方法を、被告人質間ではなく、宣証言すなわち証人尋問の方法に純化することは可能であろう[第4編証拠法第4章Ⅳ 2]。
弁論が併合され審理されている場合の共同告人の証人適格についても同様であるが、共同被告人は弁論を分離し、当該訴訟手続における救告人の地位を離脱させれば、分離前の相談告人の事件につき証人として雰間することができる(最決昭和31・12・13集10巻12号 1629頁)〔第4編証拠法第5章V2(2)〕。
(5)年少者や精神障害害者であっても。証人適格はある。ただし、年少や精神の障害のため、これらの者が直接体験した事実を正確に知覚・認識し、記憶し、これに基づき口頭で表現・叙述する能力を著しくいている場合には、前提として証人に要求される証言能力がないから、証人とすることはできない。また。
証言したとしてもその供述に証拠能力を認めることはできない。これは裁判所が、個別的・具体的に判断すべき事項である(年少者の証言について、最判昭和23・4・17刑集2巻4号364頁等、精神障害者の証言について、最判昭和 23・12・24集2巻14号 1883頁参照)。