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探偵の知識

公判手続き|公判期日の手続|証拠調べの実施(その2)鑑定・通訳・翻訳|通訳・翻訳

2025年11月19日

『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8

裁判所では日本語を用いるので(裁判所法74条)、日本語に通じない者に練述をさせる場合には、通訳人に通訳させたり、外国話を翻訳する必要が生じる(法175条・177条)。また、耳の聞こえない者または口のきけない者に陳述させる場合にも、手話などの通訳をさせることができる(法 176条)。通訳や翻訳は、言葉についての鑑定の性質を有するので、鑑定についての規定が準用される(法178条。規則136条)。
*法制審議会は、通訳を映像と音声の送受情により実施する制度の拡充として次のような要綱((骨子)「第2-3」)を示している。
(1)裁判所は、通訳人(国内にいる者に限る。以下同じ)に通訳をさせる場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人または弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であって適当と認めるものに通訳人を在席させ、映像と音声の送受により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、通訳をさせることができるものとする。
(2) 裁判所は、通訳人に通訳をさせる場合において、やむを得ない事由があり、かつ、相当と認めるときは、検察官及び被告人または弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であって適当と認めるものに通訳人を在席させ、裁判所、検察官並びに被告人及び弁護人が通訳人との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって通訳をさせることができるものとする。
この要綱(骨子)の趣旨は次のとおり。通訳人の確保をしやすくする観点からは、可能な限り柔軟な通訳方法を認めることが望ましく、音声のみの送受によっても実施できるとすることが考えられるものの、通訳人が通訳を行う際には発話者の口の動きから発話内容を読み取ったり、表情等を見て通訳を理解しているかどうかを確認したりすることもあるので、正確性の観点からは、同一構内以外にある場所に通訳人を在席させて通訳をさせる方法は、可能な限りビデオリンク方式によるべきであり、音声のみの送受信による方法は、やむを得ないと認めるときに限るのが適切と考えられたので、裁判所は、相当と認めるときは、ビデオリンク方式によって通訳をさせることができるとし、やむを得ない事由があり、かつ、相当と認めるときは、音声の送受信による方法によって通訳をさせることができるとしたのである。