証拠法|証拠法・総説|証拠法の意義と基本原則|証拠法の内容と規律の趣旨
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1)「序刑事手続の目的と基本設計図」において説明したとおり、公判手続の核心部分であり、刑罰法の適用実現(法1条)の前提となるのは、「証拠」に基づく事実の認定に向けられた裁判所と訴訟関係人の活動である。この過程を規律する法の総体を「証拠法」という。刑事手続が、刑罰という峻厳な国家作用の発動を決するものであることから、証拠法には、正確で誤りない事実認定の確保とその過程の適正確保(憲法31条)が要請される。
証拠法の内容は、①証拠調べの方法・手続に関する規律(例,憲法 37条2項、法 143条~178条・298条~311条),②証拠の許容性(証拠能力)に関する規律(例,憲法38条2項,法319条~328条),及び、③証明活動・証拠による事実認定活動の性質・範囲等に係わる事項(例,法317条・318条)に大別される。本章では、このうち③の総論的・一般的事項について説明する。
(2)証拠法の規律には、刑事被告人の証人審問権(法37条2項)・自白に関する憲法の条項(憲法 38条2項・3項)や、伝聞証拠の証拠能力に係る法規定(法320条~328条)のように条文化されているものもあるが、証拠法の任務である正確な事実認定確保と手続の適正確保の観点から形成された不文の準則も含まれる。
例えば、証明の対象や証明の必要に関する準則、証拠の「関連性」に関する準則等は、正確な事実認定確保という証拠法固有の任務に由来するものである。また、合理的な疑いを超える証明の水準や挙証責任に関する準則は、法の適正な作動過程(due process of law)確保の要請(憲法31条)に基づいた、刑罰権発動に対する安全装置と位置付けることができる。
証拠法の内容は、①証拠調べの方法・手続に関する規律(例,憲法 37条2項、法 143条~178条・298条~311条),②証拠の許容性(証拠能力)に関する規律(例,憲法38条2項,法319条~328条),及び、③証明活動・証拠による事実認定活動の性質・範囲等に係わる事項(例,法317条・318条)に大別される。本章では、このうち③の総論的・一般的事項について説明する。
(2)証拠法の規律には、刑事被告人の証人審問権(法37条2項)・自白に関する憲法の条項(憲法 38条2項・3項)や、伝聞証拠の証拠能力に係る法規定(法320条~328条)のように条文化されているものもあるが、証拠法の任務である正確な事実認定確保と手続の適正確保の観点から形成された不文の準則も含まれる。
例えば、証明の対象や証明の必要に関する準則、証拠の「関連性」に関する準則等は、正確な事実認定確保という証拠法固有の任務に由来するものである。また、合理的な疑いを超える証明の水準や挙証責任に関する準則は、法の適正な作動過程(due process of law)確保の要請(憲法31条)に基づいた、刑罰権発動に対する安全装置と位置付けることができる。