探偵の知識

信教の自由・政教分離

2025年11月19日

『国家試験受験のためのよくわかる判例〔第2版〕』 西村和彦著・2024年9月6日
ISBNISBN 978-4-426-13029-9

ガイダンス
信教の自由(憲法20条1項前段)には、内心における信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由が含まれます。さらに憲法は、信教の自由を間接的に保障するため、国教を定めず国家の宗教的中立性を規定する政教分離を規定しています(20条1項後段、同条3項、89条後段)。

剣道実技拒否事件 (最判平8.3.8)
事件の概要
A高等専門学校 (神戸市立工業高等専門学校) の生徒Xは、キリスト教系宗教「エホバの証人」の信者であり、信仰上の理由から体育の授業の科目とされている剣道の実技を拒否した。同校校長Yは、Xを原級留置処分(いわゆる留年)にした。Xは、翌年度も同様に剣道実技の履修を拒否し、体育の成績が認定されなかった。そこで、Yは、再度Xを原級留置処分とし、2回連続の原級留置処分が学則上の退学事由に該当することから退学処分にした。

判例ナビ
Xは、剣道の授業が開始される前から、体育担当教員に対し宗教上の理由で剣道実技に参加することができないことを説明し、レポート提出等の代替措置を求めて話し合いや申し入れをしていたが、Yは、代替措置を採りませんでした。そこで、Xは、Yに対し、原級留置処分および退学処分(本件各処分)が信教の自由を侵害するとして、その取消しを求める訴えを提起しました。第1審はXの請求を棄却しましたが、控訴審が1審判決を取り消し、退学処分も取り消したため、Yが上告しました。

総裁判所の判断
1 高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分又は退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであるが、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきものではなく、校長の裁量権の行使としての処分が、全く事実の基礎を欠くか又は社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである。…しかし、退学処分は学生の身分を剝奪する重大な措置であり、…当該学生を学校外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って退学処分を選択すべきであり、また、原級留置処分も、学生にその年度に1年間にわたり履修した科目、課程を再履修させることを余儀なくさせ、学業上における利益を侵害する重要な措置である。A高専においては、原級留置処分が2回連続されることにより退学事由を規定するものであるから、その学生に与える不利益の大きさに関して、原級留置処分の決定に当たっては、同様に慎重な配慮が要求されるものというべきである。そして、前記事実関係の下においては、以下に述べるとおり、本件各処分は、社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超えた違法なものといわざるを得ない。
2 神戸高専体育科においては、剣道実技の履修が必須のものとはなっておらず、体育科目による教育目的の達成は、他の体育種目の履修など代替措置によることによってもこれを貫徹することも可能であった。
3 Xが剣道実技への参加を拒否する理由は、Xの信仰の核心部分と密接に関連する真摯なものであった。…Xは、信仰上の理由による剣道実技の拒否という真摯なものであり、その不利益の極めて大きいことも明らかである。また、本件各処分は、その内容それ自体においてXに信仰上の行為を禁止し又は信仰と両立しない外部的行為を強制するものではないが、Xが信仰上の理由から剣道実技を行わないという真摯な要求を拒み、代替措置を全く考慮することなく、これを行ったという点で、Xの信仰の自由を軽視したものであるといわざるを得ない。
4 所論は、A高専においては代替措置を採るにつき実際的な障害があったという。しかし、…他の学生に不公平感を生じさせないという方法による代替措置を講ずることは可能であったと考えられる。また、履修拒否が信仰上の理由に基づくものであるかどうかが外部の調査によっては容易に明らかになる場合がある。履修拒否した結果代替措置もしようという者が多数に上ることも考え難いところである。さらに、代替措置を講ずることによって、学校における教育秩序が維持されるとみることはできず、学校運営に看過することのできない重大な支障が生ずるおそれがあったとは認められない。…以上の諸事情からすると、原審の判断は、結論において是認することができる。
5 もっとも、代替措置を採ることが実際上不可能であったということも否定はできない。そうすると、代替措置を採ることを期待し得ないとするYの主張も首肯し得ないものではなく、信仰上の理由から剣道実技を拒否することを選択したXに対し、他の教育的配慮から、選択の結果である履修の断念に対して厳格な態度で臨むことも、教育上の指導としてあり得ないことではない。しかし、代替措置を採ることが全く不可能であるとの証拠もない。また、校長の専門的判断に基づく裁量を尊重すべきではあるが、…本件各処分は、退学という重大な結果をもたらすものであることなどを考慮すると、Yの裁量判断は、社会観念上妥当な範囲を逸脱したものであり、その点で違法なものである。
6 以上によれば、信教の自由の保障は、いかなる場合にも絶対的なものであるものではなく、…代替措置が可能であるか否か、…原級留置処分を…「学業成績の評価基準の厳格な適用という学校運営上の要請の実現という教育目的によるやむを得ない制約」と解したとしても、本件各処分は、結果として、Xの信仰に基づく真摯な行為を否定し、…Xに対し著しく不利益な効果を及ぼすものであり、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を超える違法なものであると評価されることは免れない。

解説
本判決は、原級留置処分・退学処分に関する校長の裁量権を認めた上で、Xに対する各処分は裁量権の範囲を超える違法なものであるとして、各処分の取消しを認めました。なお、Yは、代替措置を採らなかった理由の一つとして、代替措置を採ることが教育的に妥当ではないとする点もあると主張しましたが、本判決は、レポート提出等の代替措置は教育的な目的効果も奏しないもので、Yの主張を退けています。

◆この分野の重要判例

宗教法人オウム真理教解散命令事件 (最大決平8.1.30)
宗教法人法(以下「法」という)に定める宗教法人の規制は、専ら宗教団体の世俗的側面だけを対象とし、その精神的・宗教的側面を対象外としているのであって、信者が宗教上の行為を行うことなどの信教の自由に対し介入しようとするものではない(法2条2項参照)。法81条に規定する宗教法人の解散命令の制度も、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為(同条1項1号)や宗教団体の目的を著しく逸脱した行為(同条2号前段)があった場合、あるいは、宗教法人は宗教団体法上の要件を欠くに至ったような場合(同項2号後段、3号から5号まで)には、宗教団体を法主体から排除する根拠が失われたと解することが適当である。宗教法人は法制度によって法人格を認められたものであるから、法が定める要件を欠くに至ったときや解散事由があるときは、宗教法人としての法人格を失わせることは当然であり、会社の解散命令(商法58条、406条の3)と同様のものであると解される。
したがって、解散命令によって宗教法人が解散しても、信者は、法人格を有しない宗教団体を存続させ、あるいは、これを新たに結成することが妨げられるわけではなく、また、宗教上の行為を行い、あるいは、宗教的施設や物品を新たに備えることが妨げられるわけでもない。すなわち、解散命令は、信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないのである。もっとも、宗教法人が解散命令が確定したときはその清算手続が行われ(法49条2項、51条)、その結果、宗教法人に帰属する財産で礼拝施設その他の宗教上の行為の用に供していたものも処分されることになるから(法50条参照)、これらの財産を用いて信者が行っていた宗教上の行為を継続するのに何らかの支障を生ずることがあり得る。このように、宗教法人に帰属する宗教的施設、物品等の財産を用いて信者が行っていた宗教上の行為を継続するのに支障が生じることはあり得るが、その支障は、解散命令に伴う間接的で事実上のものにすぎない。
このような観点から本件解散命令について見ると、法81条に規定する解散法人の解散命令の制度は、前記のように、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、かつ、専ら世俗的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に制限を加える意図によるものではなく、その効果も合理的で間接的なものにとどまる。そして、本件審理で認定したところによれば、Xの代表役員…らが計画的、組織的にサリンを生成したというのであるから、Xが、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである。右のような行為は、宗教法人の名を借りて、その法人格を悪用した世俗的活動である。…したがって、解散命令には、宗教団体であるXが行う宗教上の行為そのものに対する制約としての性格はなく、解散命令によりXが宗教法人であることによる法的利益を享受できなくなることは、専らその行為の世俗的な側面に関するものというべきである。もっとも、Xにおいて、宗教上の行為を行うのに重要な役割を果たしてきた財産が清算手続によって失われるという効果は、信者の信教の自由に無視し得ないほどの影響を及ぼすものといえるから、解散命令を発するか否かの判断に当たっては、その影響を慎重に考慮する必要がある。81条の規定に基づき、裁判所の司法審査によって発せられたものであるから、その手続の適正は担保されている。以上の点によれば、本件解散命令はXに宗教法人格を失わせることを肯認すべきものである。

解説
本件は、地下鉄サリン事件を引き起こし、宗教法人の解散命令が下されたX (宗教法人オウム真理教) が、解散命令は信者の信教の自由を侵害するから憲法20条に違反するとして最高裁に特別抗告をしたという事案です。本決定は、Xの特別抗告を棄却し、宗教法人の解散命令が憲法に違反しないことを認めました。

過去問

公立高等専門町の校長が、信仰上の理由により必修科目の剣道実技の履修を拒否した生徒に対し、原級留置処分を行うか否かの判断は、校長の合理的な教育的裁量に委ねられるところ、剣道は宗教的に中立なスポーツとして一般的な国民の広い支持を受けており、履修を前提とした場合における自由の制約の程度は極めて軽く、また、信教の自由を理由とする代替措置を学校側が行った前例があることから、代替措置をとることなく原級留置処分および退学処分を行った校長の判断に裁量権の逸脱・濫用はないとするのが判例である。(公務員2021年)

法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした宗教法人に対し、裁判所が解散を命ずることは、同法人は宗教法人法によって宗教上の行為を保障されており、その法人格を失うも、信者の信教の自由を法的に制約するものとして、信教の自由を保障する憲法20条第1項に違反する。(司法書士2021年)
1x. 判例は、信仰上の理由により剣道実技の履修を拒否した生徒に対し、代替措置が不可能というわけでもないのに、代替措置を行わずに、原級留置処分および退学処分を行った校長の措置は、社会観念上著しく妥当を欠き裁量権の範囲を超えるものであるとしています(最判平8.3.8)。
2x. 判例は、宗教法人に対する解散命令は、信者が行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることがあるけれども、その支障は、解散命令に伴う間接的で事実上のものにとどまること等を理由に憲法20条1項に違反しないとしています(最大決平8.1.30)。

津地鎮祭事件 (最大判昭52.7.13)
事件の概要
津市(三重県)は、市体育館を建設するに当たり、工事の安全等を祈願するために起工式(地鎮祭)を行った。起工式は、神社の神職によって神道の儀式にのっとって行われ、神職への謝礼も催物の会場の費用は、市の公金から支払われた。これに対し、同市市会議員Xは、このような起工式が憲法20条3項に定める政教分離規定に違反するとして、市長Yを被告として、費用の支出によって市に与えた損害の賠償を求める住民訴訟を提起した。

判例ナビ
第1審は、本件起工式は宗教的行事というより習俗的行事であるとしてXの請求を棄却しました。これに対し、控訴審は、本件施設は憲法20条3項の宗教活動に当たるとしXの請求を認めたため、Yが上告しました。

総裁判所の判断
1 憲法における政教分離原則
憲法は、政教分離規定を設けるにあたり、国家と宗教との完全な分離を理想とし、国家の非宗教性ないし宗教的中立性を確保しようとしたもの、と解すべきである。
しかしながら、元来、政教分離規定は、いわゆる制度的保障の規定であって、信教の自由そのものを直接保障するものではなく、国家と宗教との分離を制度として保障することにより、間接的に信教の自由の保障を確保しようとするものである。
ところが、宗教は、個人の信仰という内心の事柄として精神面の領域にとどまらず、同時に信仰を理由に、教育、福祉、文化、民族慣習など社会生活の各方面と接触することになり、そのことからくる当然の結果として、国家が、社会生活に規制を加え、あるいは教育、福祉、文化などに助成、援助、奨励等の施策を実施するにあたって、宗教とのかかわり合いを生ずることを免れない。
したがって、現実の国家制度として、国家と宗教との完全な分離を実現することは実際上不可能に近いものといわなければならない。…政教分離原則の対象となる国家と宗教との関係はどの範囲に及ぶのであろうか。…政教分離原則として国家の宗教的中立性を要求するとしても、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。

2 憲法20条3項により禁止される宗教的活動
憲法20条3項は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定するが、ここにいう宗教的活動は、前段の政教分離原則の趣旨に照らしてこれをみれば、およそ国及びその機関が宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが相当とされる限度を超えるものを指すものと解すべきであって、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。その典型的なものは、同項に例示される宗教教育のように宗教の教義、宗派、宣伝等の活動であるが、そのほか宗教上の祝典、儀式、行事等であっても、その目的、効果が前記のようなものである限り、当然、これに含まれる。そして、この行為にあたるかどうかは、当該行為の場所、当該行為に対する一般人の評価、当該行為者が当該行為を行うについての意図、目的及び宗教的意識の有無、程度、当該行為の一般人に与える効果、影響等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして客観的に判断しなければならない。

3 本件起工式
本件起工式は、宗教とのかかわり合いをもつものであることを否定しえないが、その目的は建設工事に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果は神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものではないから、憲法20条3項により禁止される宗教的活動にはあたらないと解するのが、相当である。

解説
本判決は、国家と宗教の完全な分離を理想としつつ、完全分離が不可能であることを認め、限定分離の立場をとりました。指針とし、国家が宗教に一定の関わり合いをもつことを認める限定分離の立場によると、どの程度の関わり合いであれば政教分離に反しないのか判断する基準が必要となってくる。この点について、本判決は、「当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為」かどうかという基準を採択しました。この基準は、行為の目的と効果という2点から政教分離違反の有無を判断するもので、目的効果基準と呼ばれています。そして、この基準に従って本件起工式は、憲法20条3項に反せず、起工式への公金支出も違憲・違法ではないとしました。

◆この分野の重要判例

空知太神社事件 (最大判平22.1.20)
1 最高裁判所の判断
国家と宗教とのかかわり合いには種々の形態があり、およそ国又は地方公共団体が宗教とのかかわり合いをもつことが許されないというものではなく、憲法89条も、…国又は地方公共団体が相当と認められる限度で宗教とのかかわり合いを持つことが許されることを前提としつつ、…当該施設の性格や、当該施設が無償で宗教的施設の敷地として利用されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する一般人の評価等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。

2 本件利用提供行為
本件利用提供行為は、市が、何らの対価を得ることなく本件各土地に宗教施設を設置させ、本件各土地をこれに継続して使用させていることを内容とするもので、その用いさせるに至る経緯、これらを援助していると評価されてもやむを得ないものである。…しかし、もともとは学術調査に協力した用地確保に協力した住民に報いるという世俗的な、公共的な目的から始まったもので、明らかに、何らかの宗教的施設を優遇ないし裨益するものではない。…このような事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断するに、本件利用提供行為は、市と本件神社ないし神道とのかかわり合いが、我が国の社会的、文化的諸条件に照らし、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとして、憲法の前記各条項の趣旨に反するとまでは認め難い。

解説
1 本件は、砂川市(北海道)がその所有する土地を空知太神社の施設敷地として無償で提供させている(本件利用提供行為)ことは政教分離原則に違反する行為であり、敷地の使用貸借契約を解除して神社施設の撤去と土地の明渡しを請求しないことは違法であるとする訴訟である。なお、一般に、特定の宗教団体に国有地を無償で提供していることは、憲法89条の違反となる(地方自治法232条の2第1項第3号)を提起した訴訟である。
2 政教分離原則違反の有無は、津地鎮祭事件判決(最大判昭52.7.13)が示した目的効果基準を用いて判断するというのが、それまでの最高裁の立場ででした。しかし、本判決は、目的効果基準を用いずに、「当該宗教的施設に対する便宜の供与が、社会通念に照らして総合的に判断」するという手法を用いています。
3 本判決は、本件利用提供行為を違憲と認めつつ、「神社施設の撤去と土地明渡し」以外に違憲状態を解消する手段を検討さるため、原判決を破棄し、差戻しました。原審に差し戻しました。これは、「神社施設の撤去と土地明渡し」によって違憲状態を解消すると、全国に数千あるといわれている本件と同様のケースでも「神社施設の撤去と土地明渡し」が命じられず、大きな社会的混乱を招くおそれがあるからです。差戻し審の判決は、砂川市が解決策として土地の有償貸与を提案したこと等を「違憲状態を解消する現実的、合憲的な手段」と評価し、神社施設の撤去などを求めた住民の請求を棄却し、最高裁(最判平24.2.16)もこれを支持しました。

過去問
1 市が主催し神式ののっとり挙行された体育館の起工式について、建施主が一般の慣習に従い起工式を行うことは、工事の円滑な進行をはかるという世俗的な目的によるもので、市民の間にこれが市の行っている宗教的儀式であるとの意識を生じさせず、もとより、特定の宗教を援助、助長するものではなく、したがって、その起工式に公金を支出することは、憲法20条3項、89条に違反しない。(公務員2018年)
2 憲法20条3項にいう宗教的活動とは、国又は地方公共団体が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく、かかわり合いが相当とされる限度を超えるものを指すもので、具体的には、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解するのが相当である。(行政書士2021年)
1x 本件の起工式について、判例は、宗教とのかかわり合いをもつものであることを認めた上で、その目的は建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従った儀礼を行うというもっぱら世俗的なものであり、その効果は神道を援助、助長、促進しまたは他の宗教に圧迫、干渉を加えるものといえないこと等を理由に、憲法20条3項に違反しないとしています (最大判昭52.7.13)。
2x 判例は、「国又は地方公共団体が国有地を無償で宗教的施設の敷地として使用に供することは、一般的には、当該宗教施設を設置する宗教団体に対する便宜の供与に他ならず、憲法89条との抵触が問題となる行為であるといわなければならない」としています (最大判平22.1.20)。