税額控除と制限納税義務者
2025年11月19日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q:相続税の税額控除のうち、制限納税義務者が適用を受けられない規定はありますか。
A: 未成年者控除は、無制限納税義務者のみに適用があります。 障害者控除は、居住無制限納税義務者及び日本に住所のある特定納税義務者のみ適用があります。
解説
(1) 納税義務者の区分による税額控除の適用可否
(2) 未成年者控除
未成年者控除は、対象となる相続人及び受遺者が無制限納税義務者である場合に適用されます。
ただし、被相続人が米国籍又は米国国内に住所を有していた場合には、未成年者が制限納税義務者であったとしても、未成年者控除の適用を受けることができます。なお、その控除額については一定の調整計算が行われます(日米相続税条約4)。
(3) 障害者控除
障害者控除は、対象となる相続人及び受遺者が居住無制限納税義務者又は特定納税義務者である場合に適用されます。 ただし、被相続人が米国籍又は米国国内に住所を有していた場合には、障害者が居住無制限納税義務者以外である場合(非居住無制限納税義務者又は制限納税義務者)であったとしても、障害者控除の適用を受けることができます。なお、その控除額については一定の調整計算が行われます(日米相続税条約4)。
(4) 外国税額控除(相続税) 国をまたいだ相続においては、同一の相続及び相続財産について、2か国以上で相続税が課されることがあります。その場合の国際間の二重課税を避けるため、一方の国で課された相続税は、他の国の相続税の計算上控除することができます(相法20の2)。
なお、制限納税義務者については、日本に所在する財産のみが日本の相続税の課税対象となることから、外国税額控除の適用はありません。また、日本とアメリカの相続税及び贈与税については、日米相続税条約によって、両国間の二重課税を調整することとされています(日米相続税条税5)。 さらに、外国税額控除の適用に当たり相続税申告書の提出は要件ではありません。よって、外国税額控除を適用することにより、相続税の申告自体が不要となる場合もあります。
(5) 外国税額控除の計算
次のいずれか少ない金額を、算出相続税額(相次相続控除までの規定適用後の金額)から控除します。
① 財産所在地国の法令により課された相続税相当額 相次相続控除までの規定、
② 相次相控除までの規則適用後の算出相続税額 x 国外に所在する財産の価額/相続又は遺贈により取得した財産のうち 相続税の課税価格に算入された価額
A: 未成年者控除は、無制限納税義務者のみに適用があります。 障害者控除は、居住無制限納税義務者及び日本に住所のある特定納税義務者のみ適用があります。
解説
(1) 納税義務者の区分による税額控除の適用可否
(2) 未成年者控除
未成年者控除は、対象となる相続人及び受遺者が無制限納税義務者である場合に適用されます。
ただし、被相続人が米国籍又は米国国内に住所を有していた場合には、未成年者が制限納税義務者であったとしても、未成年者控除の適用を受けることができます。なお、その控除額については一定の調整計算が行われます(日米相続税条約4)。
(3) 障害者控除
障害者控除は、対象となる相続人及び受遺者が居住無制限納税義務者又は特定納税義務者である場合に適用されます。 ただし、被相続人が米国籍又は米国国内に住所を有していた場合には、障害者が居住無制限納税義務者以外である場合(非居住無制限納税義務者又は制限納税義務者)であったとしても、障害者控除の適用を受けることができます。なお、その控除額については一定の調整計算が行われます(日米相続税条約4)。
(4) 外国税額控除(相続税) 国をまたいだ相続においては、同一の相続及び相続財産について、2か国以上で相続税が課されることがあります。その場合の国際間の二重課税を避けるため、一方の国で課された相続税は、他の国の相続税の計算上控除することができます(相法20の2)。
なお、制限納税義務者については、日本に所在する財産のみが日本の相続税の課税対象となることから、外国税額控除の適用はありません。また、日本とアメリカの相続税及び贈与税については、日米相続税条約によって、両国間の二重課税を調整することとされています(日米相続税条税5)。 さらに、外国税額控除の適用に当たり相続税申告書の提出は要件ではありません。よって、外国税額控除を適用することにより、相続税の申告自体が不要となる場合もあります。
(5) 外国税額控除の計算
次のいずれか少ない金額を、算出相続税額(相次相続控除までの規定適用後の金額)から控除します。
① 財産所在地国の法令により課された相続税相当額 相次相続控除までの規定、
② 相次相控除までの規則適用後の算出相続税額 x 国外に所在する財産の価額/相続又は遺贈により取得した財産のうち 相続税の課税価格に算入された価額