ホーム

弁護士の知識

エンディングノート等を活用した相続税対策

2025年11月19日

Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社

高齢化社会,相続(争族)対策、認知症対策、おひとり様の増加などの観点から、エンディングノートやライフノートが注目されています。 日本財団によると、「既に公正証書遺言書を作成している」は1.5%,「既に自筆証書遺言書を作成している」は2.0%で、遺言書作成済みの人は全体の3.5%となっています。「近いうちに作成しようと思っている」の12.2%、「エンディングノートは作成した」の4.5%を加えると、全体の20%が作成・作成予定という結果になっています。そして、このうち、遺言書作成済みの人の3.5%を上回る4.5%の人がエンディングノートを作成 したということです。
エンディングノートとは、自分自身に何かあったときに備えて、ご家族が様々な判断や手続を進める際に必要な情報を残すためのノートです。また、ライフノートとは、これからの人生をさらに充実させるためのノートです。これらのノートは、生活の備忘録として、そして、これまでの人生を振り返り、これからの人生を考えるきっかけ作りにするものです。
さらに、事業承継に特化した「バトンタッチノート」と呼ばれるものなど多種市販されています。
これらのノートは、記載する内容に法的制約がないため、書き手は自身に適したノートを選んで書きたいことを綴ることができます。よって、「認知症対策」,「孤独死対策」,「空き家対策」などの観点から自治体が企画・作成したエンディングノートを無料配付するケースも多数あります。 エンディングノートには、「家系図」のほか「不動産」,「金融資産」,「借入金」など資産・負債の状況、「家族に対する想い」、「自身の相続開始後の財産等の承継」などを記載する項目が設けられていることから、これらの項目を確認することによって、顧客の人柄やこれまでの生き方、財産を次代にどのように承継していきたいのかを容易に把握することができます。 そして、家族状況、財産の状況から具体的な相続税対策を検討することが可能となります。検討の過程において、顧客に対して遺言書の作成を促す場面も多々あることでしょう。
相続税対策の入り口、遺言書の準備段階を形作るものとしての機能もあり、エンディングノートやライフノートを活用することで、効果的な相続税対策を企画することが可能になると思料します。