代償分割
2025年11月19日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q: 父の相続財産は同族会社の株式がほとんどです。この株式は私が相続し、妹には代償金を支払いたいと考えています。
A: 代償分割をした場合には、相続税の課税価格の計算において、一定の調整計算が必要となる可能性があります。
解説
(1) 代償分割をした場合の相続税の課税価格
代償分割をした場合の、相続税の課税価格の計算は、それぞれ次のとおりです(相基通11の2-9)。
① 代償財産の交付を受けた人
相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額
② 代償財産の交付をした人
相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付をした代償財産の価額を控除した金額 なお、代償財産の交付により、交付した人の相続税の課税価格がマイナスになる場合には、相続税の計算上不利となるため、留意が必要です。
(2) 代償財産の価額
代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した人が、他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務 (代償債務)の額の相続開始の時における金額によります。
ただし、次の場合には、代償財産の価額はそれぞれ次のとおりとなります (相基通11の2-10)。
① 代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、その財産の代償分割の時における通常の取引価額をもととして代償債務の額が決定されているとき
次の算式により計算した金額
代償債務の額 × 代償分割の対象となった財産の相続開始の時における相続税評価額/代償債務の額の決定のもととなった代償分割の対象となった財産の代償分割の時における価額
② 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて代償財産の額を①の算式に準じて又は合理的と認められる方法によって計算して申告があった場合
その申告があった金額
【事例】
相続人甲は、相続により土地 (相続税評価額4,000万円,代償分割時の時価5,000万円)を取得する代わりに、相続人乙に対し現金2,000万円を支払いました。
① 甲の課税価格:4,000万円-2,000万円=2,000万円
② 乙の課税価格:2,000万円
ただし、代償財産(現金2,000万円)の額が、相続財産である土地の代償分割時の時価5,000万円をもとに決定された場合には、甲及び乙の課税価格はそれぞれ次のように計算します。
① 甲の課税価格:4,000万円-2,000万円×(4,000万円 5,000万円)=2,400万円
② 乙の課税価格:2,000万円× (4,000万円 5,000万円) =1,600万円
(3) 代償財産として相続人固有の資産を交付した場合
代償債務の履行として固有資産の移転があったときは、その履行をした人はその履行をした時において、その資産を譲渡したこととなります(所基通33-1の5)。この場合、代償債務の履行をした人について、所得税が課される可能性があります。
A: 代償分割をした場合には、相続税の課税価格の計算において、一定の調整計算が必要となる可能性があります。
解説
(1) 代償分割をした場合の相続税の課税価格
代償分割をした場合の、相続税の課税価格の計算は、それぞれ次のとおりです(相基通11の2-9)。
① 代償財産の交付を受けた人
相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額
② 代償財産の交付をした人
相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付をした代償財産の価額を控除した金額 なお、代償財産の交付により、交付した人の相続税の課税価格がマイナスになる場合には、相続税の計算上不利となるため、留意が必要です。
(2) 代償財産の価額
代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した人が、他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務 (代償債務)の額の相続開始の時における金額によります。
ただし、次の場合には、代償財産の価額はそれぞれ次のとおりとなります (相基通11の2-10)。
① 代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、その財産の代償分割の時における通常の取引価額をもととして代償債務の額が決定されているとき
次の算式により計算した金額
代償債務の額 × 代償分割の対象となった財産の相続開始の時における相続税評価額/代償債務の額の決定のもととなった代償分割の対象となった財産の代償分割の時における価額
② 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて代償財産の額を①の算式に準じて又は合理的と認められる方法によって計算して申告があった場合
その申告があった金額
【事例】
相続人甲は、相続により土地 (相続税評価額4,000万円,代償分割時の時価5,000万円)を取得する代わりに、相続人乙に対し現金2,000万円を支払いました。
① 甲の課税価格:4,000万円-2,000万円=2,000万円
② 乙の課税価格:2,000万円
ただし、代償財産(現金2,000万円)の額が、相続財産である土地の代償分割時の時価5,000万円をもとに決定された場合には、甲及び乙の課税価格はそれぞれ次のように計算します。
① 甲の課税価格:4,000万円-2,000万円×(4,000万円 5,000万円)=2,400万円
② 乙の課税価格:2,000万円× (4,000万円 5,000万円) =1,600万円
(3) 代償財産として相続人固有の資産を交付した場合
代償債務の履行として固有資産の移転があったときは、その履行をした人はその履行をした時において、その資産を譲渡したこととなります(所基通33-1の5)。この場合、代償債務の履行をした人について、所得税が課される可能性があります。