評価の時期
2025年11月19日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q: 父が亡くなりました。父の相続財産は、自宅、預貯金などがありま す。相続税の申告に当たり、相続財産を評価する必要があると聞きました。
A: 相続税は申告納税方式が採用されており、納税者が相続財産の価額を評価し、相続税の基礎控除額を超過する場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行う必要があります。また、相続財産の価額の評価の時期は、相続の開始日とされています。
解説
(1) 相続税法における評価の原則
相続税法22条(評価の原則)は、「特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規定しています。 ここでいう特別の定めのあるものとは、地上権及び永小作権、配偶者居住権等,定期金に関する権利、立木の評価に関する評価方法がこれに該当します (相法23,23の2,24,25,26)。 したがって、これらを除く財産は、その財産の取得の時における時価により評価することとなりますが、時価の具体的内容は法解釈に委ねられています。
(2) 財産評価基本通達の定め
相続税の課税の対象となる財産は、土地、家屋等の不動産をはじめ、動産、有価証券など多種多様であり、これら各種財産を納税者自身が的確に把握し評価することは必ずしも容易ではありません。 第10章 財産の評価 199 このため、国税庁は財産評価基本通達を定め、各財産の評価方法に共通する事項や財産の評価単位ごとの評価方法などを具体的に定め、国税内部の統一的な処理を行うとともに、これを公開し納税者の便に供しています。
(3) 相続財産の価額の評価の時期
相続税法22条における「時価」の評価とは、いつの時点の評価になるのか、財産の取得の時とは、いつのことなのかは、財産評価基本通達第1章総則1(2) (時価の意義)において、「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(・・・・・・)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」と定めています。つまり、時価とは、課税時期(相続、遺贈の場合の取得時点とは、被相続人の死亡の日)の時価とされています。 したがって、相続財産の評価は、課税時期の現況による時価で行うこととなります(評基通1)。
(4) 相続税の申告に向けたアドバイス
相続税の申告期限は、前記1のとおり、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内となっています。相続人自身がこの短い期間内に相続財産を把握し、各々の相続財産を法令・通達に当てはめ評価額を計算しようとすると、時間と手間がかかるケースが大半です。 したがって、相続税の申告の相談があった場合には、相続税申告書の作成等を専門としている税理士に依頼するようアドバイスするとよいでしょう。
A: 相続税は申告納税方式が採用されており、納税者が相続財産の価額を評価し、相続税の基礎控除額を超過する場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行う必要があります。また、相続財産の価額の評価の時期は、相続の開始日とされています。
解説
(1) 相続税法における評価の原則
相続税法22条(評価の原則)は、「特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規定しています。 ここでいう特別の定めのあるものとは、地上権及び永小作権、配偶者居住権等,定期金に関する権利、立木の評価に関する評価方法がこれに該当します (相法23,23の2,24,25,26)。 したがって、これらを除く財産は、その財産の取得の時における時価により評価することとなりますが、時価の具体的内容は法解釈に委ねられています。
(2) 財産評価基本通達の定め
相続税の課税の対象となる財産は、土地、家屋等の不動産をはじめ、動産、有価証券など多種多様であり、これら各種財産を納税者自身が的確に把握し評価することは必ずしも容易ではありません。 第10章 財産の評価 199 このため、国税庁は財産評価基本通達を定め、各財産の評価方法に共通する事項や財産の評価単位ごとの評価方法などを具体的に定め、国税内部の統一的な処理を行うとともに、これを公開し納税者の便に供しています。
(3) 相続財産の価額の評価の時期
相続税法22条における「時価」の評価とは、いつの時点の評価になるのか、財産の取得の時とは、いつのことなのかは、財産評価基本通達第1章総則1(2) (時価の意義)において、「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(・・・・・・)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」と定めています。つまり、時価とは、課税時期(相続、遺贈の場合の取得時点とは、被相続人の死亡の日)の時価とされています。 したがって、相続財産の評価は、課税時期の現況による時価で行うこととなります(評基通1)。
(4) 相続税の申告に向けたアドバイス
相続税の申告期限は、前記1のとおり、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内となっています。相続人自身がこの短い期間内に相続財産を把握し、各々の相続財産を法令・通達に当てはめ評価額を計算しようとすると、時間と手間がかかるケースが大半です。 したがって、相続税の申告の相談があった場合には、相続税申告書の作成等を専門としている税理士に依頼するようアドバイスするとよいでしょう。