マンションの評価
2025年11月19日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q: 私(長女)は近郊都市のマンションに母と2人で住んでいます。母の相続開始に備えマンションの評価方法を知っておきたいと思います。
A: 一般的に、土地は国税庁が発表する標準的な宅地の1㎡当たりの価格を示した路線価方式に基づき評価し、家屋は評価対象家屋の固定資産税評価額に1.0倍を乗じて計算した金額で評価しますが、マンションについては、マンション通達に基づき、これらの評価額に一定の率を乗じるなどして計算します。
解説…
(1) マンション通達が適用されるマンション
マンション通達は、都心、三大都市圏及び地方にかかわらず、次の①及び②の要件を満たすマンションで、令和6年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得したものに適用されます(後記62(2)参照)。
① 3階建て以上の区分所有マンション 専有部分の数が3室以下の二世帯住宅,オフィスビル、区分所有者が存しない賃貸マンションは適用対象外
② 評価水準が1を超えるか、又は0.6未満であるマンション
(2) 評価水準
マンション通達でいう評価水準とは、算式1で求めた値をいい、評価水準を求めるための評価乖離率は、算式2で求めた値をいいます。
【算式1】
評価水準=1+評価乖離率
【算式2】
評価乖離率 =A+B+C+D+3.220
上記算式において、「A」, 「B」, 「C」及び「D」は、それぞれ次によって計算します。
A=一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
B=一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239
C=一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
D=一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195
(※)
1 「築年数」は、建築の時から課税時期までの期間とし、その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とします。
2 「総階数指数」は、総階数を33で除した値 (小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とします。)とします。この場合において、総階数には地階を含みません。
3 「専有部分」がその一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とします。
4 「専有部分」が地階である場合には、「一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、ゼロ階とし、Cの値はゼロとします。
5 「一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げます。)とします。
(3) 一室の区分所有権等に係る敷地利用権及び区分所有権の価額
評価水準が1を超えるか0.6未満である場合の一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、次の算式による区分所有補正率を乗じて計算した価額を当該「自用地としての価額」とみなして、財産評価基本通達を適用して計算した価額によって評価します。ただし、評価乖離率がゼロ又は負数のものについては、評価しないこととされています。
また、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額についても、「自用家屋としての価額」に、次の算式による区分所有補正率を乗じて計算した価額により求めます。
【算式】
① 評価水準が1を超える場合
区分所有補正率=評価乖離率
② 評価水準が0.6未満の場合
区分所有補正率=評価乖離率×0.6
(※) 区分所有者が次のいずれも単独で所有している場合には、「区分所有補正率」は1を下限とします。
イ 一棟の区分所有建物に存するすべての専有部分
ロ 一棟の区分所有建物の敷地
(4) 計算例
本事例において、仮に次のようなマンションにお住まいの場合のマンションの評価額の計算は、次のように行います。
マンションの築年数15年 総階数9階 所在階9階 専有部分の面積70㎡ 敷地の面積2,800㎡ 敷地権の割合(7,300/530,000)
一室の区分所有権等に係る敷地利用権 (土地部分)の価額 630万円
一室の区分所有権等に係る区分所有権 (建物部分)の価額 600万円
① 一室の区分所有権等に係る敷地利用権(土地部分)の価額
8,667,540円(=6,300,000円×1.3758)
② 一室の区分所有権等に係る区分所有権(建物部分)の価額
8,254,800円(=6,000,000円×1.3758)
③ マンションの評価額 16,922,340円(=①+②)
(※) マンション通達適用前の評価額(令和5年12月31日まで)は、12,300,000円(=6,300,000円+6,000,000円)となります。
④ 小規模宅地等の特例の適用
母親と生計を一にしていた相談者(長女)がそのマンションを 取得するということですので、特定居住用宅地等に該当し、土地の評価額から80%を減額することができます。
1,733,508円(=①×(1-0.8))
A: 一般的に、土地は国税庁が発表する標準的な宅地の1㎡当たりの価格を示した路線価方式に基づき評価し、家屋は評価対象家屋の固定資産税評価額に1.0倍を乗じて計算した金額で評価しますが、マンションについては、マンション通達に基づき、これらの評価額に一定の率を乗じるなどして計算します。
解説…
(1) マンション通達が適用されるマンション
マンション通達は、都心、三大都市圏及び地方にかかわらず、次の①及び②の要件を満たすマンションで、令和6年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得したものに適用されます(後記62(2)参照)。
① 3階建て以上の区分所有マンション 専有部分の数が3室以下の二世帯住宅,オフィスビル、区分所有者が存しない賃貸マンションは適用対象外
② 評価水準が1を超えるか、又は0.6未満であるマンション
(2) 評価水準
マンション通達でいう評価水準とは、算式1で求めた値をいい、評価水準を求めるための評価乖離率は、算式2で求めた値をいいます。
【算式1】
評価水準=1+評価乖離率
【算式2】
評価乖離率 =A+B+C+D+3.220
上記算式において、「A」, 「B」, 「C」及び「D」は、それぞれ次によって計算します。
A=一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
B=一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239
C=一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
D=一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195
(※)
1 「築年数」は、建築の時から課税時期までの期間とし、その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とします。
2 「総階数指数」は、総階数を33で除した値 (小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とします。)とします。この場合において、総階数には地階を含みません。
3 「専有部分」がその一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とします。
4 「専有部分」が地階である場合には、「一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、ゼロ階とし、Cの値はゼロとします。
5 「一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げます。)とします。
(3) 一室の区分所有権等に係る敷地利用権及び区分所有権の価額
評価水準が1を超えるか0.6未満である場合の一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、次の算式による区分所有補正率を乗じて計算した価額を当該「自用地としての価額」とみなして、財産評価基本通達を適用して計算した価額によって評価します。ただし、評価乖離率がゼロ又は負数のものについては、評価しないこととされています。
また、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額についても、「自用家屋としての価額」に、次の算式による区分所有補正率を乗じて計算した価額により求めます。
【算式】
① 評価水準が1を超える場合
区分所有補正率=評価乖離率
② 評価水準が0.6未満の場合
区分所有補正率=評価乖離率×0.6
(※) 区分所有者が次のいずれも単独で所有している場合には、「区分所有補正率」は1を下限とします。
イ 一棟の区分所有建物に存するすべての専有部分
ロ 一棟の区分所有建物の敷地
(4) 計算例
本事例において、仮に次のようなマンションにお住まいの場合のマンションの評価額の計算は、次のように行います。
マンションの築年数15年 総階数9階 所在階9階 専有部分の面積70㎡ 敷地の面積2,800㎡ 敷地権の割合(7,300/530,000)
一室の区分所有権等に係る敷地利用権 (土地部分)の価額 630万円
一室の区分所有権等に係る区分所有権 (建物部分)の価額 600万円
① 一室の区分所有権等に係る敷地利用権(土地部分)の価額
8,667,540円(=6,300,000円×1.3758)
② 一室の区分所有権等に係る区分所有権(建物部分)の価額
8,254,800円(=6,000,000円×1.3758)
③ マンションの評価額 16,922,340円(=①+②)
(※) マンション通達適用前の評価額(令和5年12月31日まで)は、12,300,000円(=6,300,000円+6,000,000円)となります。
④ 小規模宅地等の特例の適用
母親と生計を一にしていた相談者(長女)がそのマンションを 取得するということですので、特定居住用宅地等に該当し、土地の評価額から80%を減額することができます。
1,733,508円(=①×(1-0.8))