リフォーム工事
2025年11月19日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q: 父は亡くなる直前に自宅のリフォームを行いました。相続税の申告に影響はありますか。
A: 固定資産税評価額に影響するようなリフォームを行った場合、相続税の申告に用いる家屋の価額は、リフォーム前の家屋の固定資産税評価額に、リフォームの金額に一定の計算式を用いて求めた価額を加算した額とします。
解説
相続税の申告で用いる家屋の価額は、その固定資産税評価額によります(評基通89)。 リフォームされた建物の固定資産税評価額が、リフォーム後の状況に応じた固定資産税評価額に見直されている場合には、通常の家屋と同様に固定資産税評価額を使うことが可能です。しかし、相続開始直前にリフォームが行われた場合は、リフォーム前の固定資産税評価額のままであるため、リフォーム前の固定資産税評価額をそのまま使うことはできません。 なお、リフォームが建物の経年劣化などを修繕し原状回復するためのものである場合には、固定資産税評価額に影響を与えないと考えられます。
(1) 増改築等に係る固定資産税評価額が付されていない場合の評価
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、その増改築等に係る部分の再建築価額「から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額を加算した価額に基づき評価します。 償却費相当額は、再建築価額からその価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数のうちに占める経過年数の割合を乗じて計算します。。 なお、相続税の申告期限までに増改築等後の固定資産税評価額が決定された場合には、増改築等後の固定資産税評価額で評価することができます。
(2) リフォームを行った建物の具体的な計算方法
【算式】
リフォーム後の家屋の価額 =リフォーム前の固定資産税評価額+(再建築価額-減価償却費相当額(※))×70%
(※) 減価償却費相当額の計算
減価償却費相当額=再建築価額×0.9×リフォーム後の建物の耐用年数 経過年数(※)
(※) リフォーム後の経過年数は、リフォーム完了から相続の開始時期までの期間に相当する年数(1年未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。)をいいます。
(3) リフォームの工事中に相続が開始した場合の評価方法
リフォームの工事中に相続が開始した場合の評価方法については、「課税時期において現に建築中の家屋の価額は、その家屋の費用現価の100分の70に相当する金額によって評価する。」(評基通91)とされていることから、次のような算式で計算することができます。 また、相続開始時においてリフォーム中のとき、建築業者への支払が完済されておらず、リフォームの進行度合いと実際の支払額が異なることが一般的です。次の算式によるリフォーム費用現価×70%の額が、実際の支払額よりも多い場合の差額については債務(未払金)、少ない場合の差額については資産(前払金)に計上します。
① リフォーム工事中に相続が開始した家屋の具体的な計算方法
【算式】
リフォーム中の家屋の価額 =リフォーム前の固定資産税評価額+リフォーム費用現価(※)×70%
(※) ここでいうリフォーム費用現価とは、リフォームの建築の進行に応じた建築費用の額のことをいい、この額は建築業者への支払金額ではなく、建築の進行に応じた費用現価相当額です。
② リフォーム費用現価の計算例
リフォーム建築契約の総額1,000万円、リフォーム工事の進行度合い80%とした場合のリフォーム費用現価は,800万円 (=1,000万円×80%)となります。 なお、相続開始時における工事進行度合いは建築業者に確認します。
③ リフォームの進行度合いと支払額が異なる場合の相続財産への計上例
上記②の事例において、工事代金として、先に400万円又は800万円を支払っている場合、次の差額を相続財産として計上します。
イ 400万円支払済の場合
未払金160万円(=400万円-560万円(800万円×70%)) を負債計上します。
ロ 800万円支払済の場合
前払金240万円(=800万円-560万円(800万円×70%))を財産計上します。
A: 固定資産税評価額に影響するようなリフォームを行った場合、相続税の申告に用いる家屋の価額は、リフォーム前の家屋の固定資産税評価額に、リフォームの金額に一定の計算式を用いて求めた価額を加算した額とします。
解説
相続税の申告で用いる家屋の価額は、その固定資産税評価額によります(評基通89)。 リフォームされた建物の固定資産税評価額が、リフォーム後の状況に応じた固定資産税評価額に見直されている場合には、通常の家屋と同様に固定資産税評価額を使うことが可能です。しかし、相続開始直前にリフォームが行われた場合は、リフォーム前の固定資産税評価額のままであるため、リフォーム前の固定資産税評価額をそのまま使うことはできません。 なお、リフォームが建物の経年劣化などを修繕し原状回復するためのものである場合には、固定資産税評価額に影響を与えないと考えられます。
(1) 増改築等に係る固定資産税評価額が付されていない場合の評価
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、その増改築等に係る部分の再建築価額「から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額を加算した価額に基づき評価します。 償却費相当額は、再建築価額からその価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数のうちに占める経過年数の割合を乗じて計算します。。 なお、相続税の申告期限までに増改築等後の固定資産税評価額が決定された場合には、増改築等後の固定資産税評価額で評価することができます。
(2) リフォームを行った建物の具体的な計算方法
【算式】
リフォーム後の家屋の価額 =リフォーム前の固定資産税評価額+(再建築価額-減価償却費相当額(※))×70%
(※) 減価償却費相当額の計算
減価償却費相当額=再建築価額×0.9×リフォーム後の建物の耐用年数 経過年数(※)
(※) リフォーム後の経過年数は、リフォーム完了から相続の開始時期までの期間に相当する年数(1年未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。)をいいます。
(3) リフォームの工事中に相続が開始した場合の評価方法
リフォームの工事中に相続が開始した場合の評価方法については、「課税時期において現に建築中の家屋の価額は、その家屋の費用現価の100分の70に相当する金額によって評価する。」(評基通91)とされていることから、次のような算式で計算することができます。 また、相続開始時においてリフォーム中のとき、建築業者への支払が完済されておらず、リフォームの進行度合いと実際の支払額が異なることが一般的です。次の算式によるリフォーム費用現価×70%の額が、実際の支払額よりも多い場合の差額については債務(未払金)、少ない場合の差額については資産(前払金)に計上します。
① リフォーム工事中に相続が開始した家屋の具体的な計算方法
【算式】
リフォーム中の家屋の価額 =リフォーム前の固定資産税評価額+リフォーム費用現価(※)×70%
(※) ここでいうリフォーム費用現価とは、リフォームの建築の進行に応じた建築費用の額のことをいい、この額は建築業者への支払金額ではなく、建築の進行に応じた費用現価相当額です。
② リフォーム費用現価の計算例
リフォーム建築契約の総額1,000万円、リフォーム工事の進行度合い80%とした場合のリフォーム費用現価は,800万円 (=1,000万円×80%)となります。 なお、相続開始時における工事進行度合いは建築業者に確認します。
③ リフォームの進行度合いと支払額が異なる場合の相続財産への計上例
上記②の事例において、工事代金として、先に400万円又は800万円を支払っている場合、次の差額を相続財産として計上します。
イ 400万円支払済の場合
未払金160万円(=400万円-560万円(800万円×70%)) を負債計上します。
ロ 800万円支払済の場合
前払金240万円(=800万円-560万円(800万円×70%))を財産計上します。