消滅時効|時の過ぎゆくままにすると・・・
2025年11月19日
書名: 税理士業務で知っておきたい法律知識
著者名: 森 章太, 出版社名: 日本実業出版社, 発行年月日: 2022年4月1日, 引用ページ: 不明, ISBNコード: 978-4-534-05917-8
消滅時効という制度があることは多くの方に知られていますが、消滅時効の細かいルールはあまり知られていません。
相続税について、相続開始時(被相続人の死亡時)に現に消滅時効の完成した債務は、債務控除の対象となる確実と認められる債務には該当しないと定められています(相基通14-4)。この通達を理解するには、時効の完成と援用の違いを知っておく必要があります。
また、令和2(2020)年4月の民法改正の施行により消滅時効期間が大きく変更されており、消滅時効についての知識も更新が必要となっています。
本節では、消滅時効(民法)について解説します。
1 消滅時効
(1) 消滅時効とは?
消滅時効とは、権利が行使されない状態が継続した場合に、その権利の消滅を定める制度です。消滅時効が存する理由として、時間の経過により過去の事実(例、弁済)の立証が困難になることから債務者を保護する点、権利を長期間行使しない債権者は保護に値しないなどが挙げられます。
なお、時効には取得時効(1-1P18頁)という制度もあります。こちらは、物を一定の期間支配した者が権利を取得することを認めるものです。
(2) 消滅時効の対象となる権利
消滅時効の対象になる権利は債権などです。所有権は消滅時効の対象にはなりません。もっとも、他人が取得時効により物の所有権を取得すると、その反射的効果として前主は所有権を喪失します。
(3) 債権の消滅時効
債権は権利を行使できる時から消滅時効により消滅するのが原則です。
債権の消滅時効期間は、令和2(2020)年4月1日に施行された改正民法により単純化及び統一されました(改正前は本節のCOLUMN1)。
原則として、権利を行使することができることを知った時から5年間、または権利を行使することができる時から10年間、権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しない場合は、債権は時効によって消滅します(民166条1項)。すなわち、行使できることを知った時から5年で消滅します。
なお、不法行為による損害賠償請求権(民724条)や生命・身体の侵害による損害賠償請求権(民724条の2)などの時効期間については、例外が設けられています(1-6P68頁)。
民法166条(債権等の消滅時効)
1項 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1号 債権者が権利を行使することできることを知った時から5年間行使しないとき。
2号 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 時効期間
(1) 時効の完成猶予と更新
消滅時効期間が経過すると、必ず時効が完成するわけではありません。
消滅時効期間中に一定の行為があった場合、権利行使の意思が明らかになったといえるので時効が猶予されることを「時効の完成猶予」といいます。また、権利の存在について確認がされたといえるために、それまで進行していた期間がリセットされ新たにゼロから起算されることを「時効の更新」といいます。
(2) 裁判上の請求
裁判所に訴えを提起すると、裁判が終了するまで時効の完成が猶予されます(民147条1項)。そして、確定判決などによって権利が確定したときは時効が更新され、裁判確定時から新たに時効が進行します(同条2項)。
(3) 催告
訴えを提起するのではなく、口頭や書面で弁済してほしいと単に請求することを「催告」といいます。催告をしても、催告時から6ヶ月間、時効の完成が猶予されるだけです(民150条1項)。その期間内に裁判上の請求などを行わなければ、時効は完成します。催告は、訴訟提起などをするまでのつなぎの役割を果たすだけです。
また、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しません(同条2項)。催告によって、債権者の時効の完成が忘れられることはできません。
(4) 承認
債務者が債務の存在を認めることを「承認」といい、承認があったときは時効が更新されます(民152条1項)。一部を弁済したり、支払いの猶予を求めた りすることは承認に該当します。
3 援用
(1) 援用とは?
消滅時効期間が経過し、猶予事由が起こらないとき(時効の完成のとき)に、債権は時効によって当然に消滅するわけではありません。当事者が援用(消滅という利益を受ける旨の意思表示)しなければ、裁判所は時効を認めることができません(民145条)。それゆえ、債務者の時効の完成に気づかずに自白したとしても、訴訟であっても、時効の利益を考慮に入れることはありません。
本節の冒頭で紹介した相続税法基本通達は、相続開始時に、援用の意思表示をしていなくても、消滅時効が完成している債務は、債務控除の対象にならないと定めています。
(2) 消滅時効完成後の自認行為
それでは、債務者に支払いを猶予してほしいなどと伝えた後に、既に消滅時効が完成していると気づいた場合、債務者は消滅時効を援用できるでしょうか。民法には規定はありませんが、判例は、債務者が消滅時効完成の事実を知らなかった場合であっても、時効完成後に債務を承認する行為があったときは、消滅時効を援用できないとの判例を長く確立し、その債務について、時効を援用することができなくなります。
気づいて援用しなければ時効によって消滅しない、時効完成後に気づかずに債務の存在を認めてしまうと援用できなくなるなど、消滅時効は知っているか、気づくかによって訴訟の結果に大きな影響を与えます。
COLUMN 1 債権の消滅時効期間(民法改正前)
令和2(2020)年4月1日前に生じた債権などの消滅時効期間に関しては、改正前の民法の規定が適用されるので、しばらくは新旧両方の制度を理解しておく必要があります。改正前の、債権の主な消滅時効期間は下記のとおりです。なお、税理士の報酬債権は「職業別」で2年間でした。
原則:権利を行使することができる時から10年間
例外:権利を行使することができる時から下記の期間
① 飲食店の飲食料債権 - 1年間
② 売掛代金債権、弁護士の報酬債権 - 2年間
③ 定期給付債権 - 5年間
COLUMN 2 貸金請求権の消滅時効期間
未払賃金(残業代含む)を請求しようとする場合、消滅時効期間は2年間とされていましたが、民法改正に伴い、令和2(2020)年4月以降に支払日が到来する賃金請求権については5年間(ただし、当分の間は3年間)に延長されました(労働基準法115条、143条)。
COLUMN 3 慰謝料・損害賠償の徴収権の制限
租税滞納者である国などは、被相続人と連帯保証契約を締結できます。
納税額は、更正決定などによって、納付すべき税金の金額が確定します(納付すべき税額を確定する処分、納税者の申告、納付すべき税額が法定されている税金など)。原則として、法定納期限から5年を経過した日以後においては、更正決定などはできません(国通法70条1項本文)。その期間を「除斥期間」といいます。
一方、除斥期間の経過した後にされた徴収権の行使を認め、徴収権は時効によって消滅します。法定納期限から5年間行使しないことにより消滅します。
隣地通行権が認められるのは、土地が荒廃され、社会的な損失が生じることを防ぐためです。
2 公道に通じない土地とは?
「公道に通じない土地」の公道は、公衆の用に供される道路を指し、私道を含みません。
また、現に道路が存在する場合であっても、既存の通路では土地の利用に応じた利用にとって不十分であるときは、「公道に通じない土地」と評価されることがあります。
隣地通行権が認められるかどうかについて、最高裁平成6(2006)年3月16日判決・裁判所Webは、「自動車による通行を前提とすると210条通行権の成否及びその具体的内容は、他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、自動車による通行を前提とすると210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである」と判示しています。
さらに、道路に2m以上接するという建築基準法43条1項の接道要件を満たしていない土地について、最高裁平成11(1999)年7月13日判決・裁判所Webは、「建築基準法43条1項本文は、土地又は建物の所有権を取得して、接道要件を定め、営業等のために公法上の規制を課している。このような建築基準法43条1項本文は、その目的、手段等からみて、同一土地の所有者のために隣地の他の土地の上に無償の通行権が当然に認められると解することはできない」と判示しています。隣地通行権の成立及び内容について、接道要件を考慮すること自体は否定されていないと解されています。
3 有償通行権(原則)
(1) 隣地通行の場所及び方法
隣地通行権が認められるからといって、隣地の好きな場所を通行できるわけではありません。隣地通行の場所及び方法は、通行のための必要があり、かつ、隣地の所有者のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません(民211条1項)。
具体的には、権利を濫用したり、隣地を荒廃させたりすることはできません。
(2) 償金の支払義務
通行権者は、通行する土地の所有者の損害に対して償金を支払わなければなりません(民213条1項)。償金は、隣地に現実に発生した損害を賠償する性質と通行権の利用を償還する性質を併せ持ちます。
もっとも、通行権者は、償金の支払をしなかったとしても、隣地通行権を失わず、引渡しを請求することができます。隣地通行権は、公道に面するために認められる権利であり、償金の支払いを前提として認められるわけではないからです。
4 無償通行権(例外)
共有物の分割(3-4P178頁)によって公道に通じない土地が生じたときは、袋地の所有者は、公道に出るため、他の分割者の所有地のみを通行することができます(民213条1項)。
また、土地所有者が土地の一部を譲渡したことにより公道に通じなくなったときは、袋地の所有者は、公道に出るため、譲渡人または譲受人の土地のみを通行することができます(同条2項)。
これらの場合、償金を支払う必要がありません。通行権の発生を予期して分割地または譲渡した他の分割者の利益を保護するためであり、償金の負担を負わせるのは酷といえるからです。
POINT 1
袋地または準袋地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
隣地通行権の通行の場所及び方法は、通行権者のために必要があり、かつ、隣地の所有者のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
通行権者は、原則として、通行する土地の所有者の損害に対して償金を支払わなければならない。
相続税について、相続開始時(被相続人の死亡時)に現に消滅時効の完成した債務は、債務控除の対象となる確実と認められる債務には該当しないと定められています(相基通14-4)。この通達を理解するには、時効の完成と援用の違いを知っておく必要があります。
また、令和2(2020)年4月の民法改正の施行により消滅時効期間が大きく変更されており、消滅時効についての知識も更新が必要となっています。
本節では、消滅時効(民法)について解説します。
1 消滅時効
(1) 消滅時効とは?
消滅時効とは、権利が行使されない状態が継続した場合に、その権利の消滅を定める制度です。消滅時効が存する理由として、時間の経過により過去の事実(例、弁済)の立証が困難になることから債務者を保護する点、権利を長期間行使しない債権者は保護に値しないなどが挙げられます。
なお、時効には取得時効(1-1P18頁)という制度もあります。こちらは、物を一定の期間支配した者が権利を取得することを認めるものです。
(2) 消滅時効の対象となる権利
消滅時効の対象になる権利は債権などです。所有権は消滅時効の対象にはなりません。もっとも、他人が取得時効により物の所有権を取得すると、その反射的効果として前主は所有権を喪失します。
(3) 債権の消滅時効
債権は権利を行使できる時から消滅時効により消滅するのが原則です。
債権の消滅時効期間は、令和2(2020)年4月1日に施行された改正民法により単純化及び統一されました(改正前は本節のCOLUMN1)。
原則として、権利を行使することができることを知った時から5年間、または権利を行使することができる時から10年間、権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しない場合は、債権は時効によって消滅します(民166条1項)。すなわち、行使できることを知った時から5年で消滅します。
なお、不法行為による損害賠償請求権(民724条)や生命・身体の侵害による損害賠償請求権(民724条の2)などの時効期間については、例外が設けられています(1-6P68頁)。
民法166条(債権等の消滅時効)
1項 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1号 債権者が権利を行使することできることを知った時から5年間行使しないとき。
2号 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 時効期間
(1) 時効の完成猶予と更新
消滅時効期間が経過すると、必ず時効が完成するわけではありません。
消滅時効期間中に一定の行為があった場合、権利行使の意思が明らかになったといえるので時効が猶予されることを「時効の完成猶予」といいます。また、権利の存在について確認がされたといえるために、それまで進行していた期間がリセットされ新たにゼロから起算されることを「時効の更新」といいます。
(2) 裁判上の請求
裁判所に訴えを提起すると、裁判が終了するまで時効の完成が猶予されます(民147条1項)。そして、確定判決などによって権利が確定したときは時効が更新され、裁判確定時から新たに時効が進行します(同条2項)。
(3) 催告
訴えを提起するのではなく、口頭や書面で弁済してほしいと単に請求することを「催告」といいます。催告をしても、催告時から6ヶ月間、時効の完成が猶予されるだけです(民150条1項)。その期間内に裁判上の請求などを行わなければ、時効は完成します。催告は、訴訟提起などをするまでのつなぎの役割を果たすだけです。
また、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しません(同条2項)。催告によって、債権者の時効の完成が忘れられることはできません。
(4) 承認
債務者が債務の存在を認めることを「承認」といい、承認があったときは時効が更新されます(民152条1項)。一部を弁済したり、支払いの猶予を求めた りすることは承認に該当します。
3 援用
(1) 援用とは?
消滅時効期間が経過し、猶予事由が起こらないとき(時効の完成のとき)に、債権は時効によって当然に消滅するわけではありません。当事者が援用(消滅という利益を受ける旨の意思表示)しなければ、裁判所は時効を認めることができません(民145条)。それゆえ、債務者の時効の完成に気づかずに自白したとしても、訴訟であっても、時効の利益を考慮に入れることはありません。
本節の冒頭で紹介した相続税法基本通達は、相続開始時に、援用の意思表示をしていなくても、消滅時効が完成している債務は、債務控除の対象にならないと定めています。
(2) 消滅時効完成後の自認行為
それでは、債務者に支払いを猶予してほしいなどと伝えた後に、既に消滅時効が完成していると気づいた場合、債務者は消滅時効を援用できるでしょうか。民法には規定はありませんが、判例は、債務者が消滅時効完成の事実を知らなかった場合であっても、時効完成後に債務を承認する行為があったときは、消滅時効を援用できないとの判例を長く確立し、その債務について、時効を援用することができなくなります。
気づいて援用しなければ時効によって消滅しない、時効完成後に気づかずに債務の存在を認めてしまうと援用できなくなるなど、消滅時効は知っているか、気づくかによって訴訟の結果に大きな影響を与えます。
COLUMN 1 債権の消滅時効期間(民法改正前)
令和2(2020)年4月1日前に生じた債権などの消滅時効期間に関しては、改正前の民法の規定が適用されるので、しばらくは新旧両方の制度を理解しておく必要があります。改正前の、債権の主な消滅時効期間は下記のとおりです。なお、税理士の報酬債権は「職業別」で2年間でした。
原則:権利を行使することができる時から10年間
例外:権利を行使することができる時から下記の期間
① 飲食店の飲食料債権 - 1年間
② 売掛代金債権、弁護士の報酬債権 - 2年間
③ 定期給付債権 - 5年間
COLUMN 2 貸金請求権の消滅時効期間
未払賃金(残業代含む)を請求しようとする場合、消滅時効期間は2年間とされていましたが、民法改正に伴い、令和2(2020)年4月以降に支払日が到来する賃金請求権については5年間(ただし、当分の間は3年間)に延長されました(労働基準法115条、143条)。
COLUMN 3 慰謝料・損害賠償の徴収権の制限
租税滞納者である国などは、被相続人と連帯保証契約を締結できます。
納税額は、更正決定などによって、納付すべき税金の金額が確定します(納付すべき税額を確定する処分、納税者の申告、納付すべき税額が法定されている税金など)。原則として、法定納期限から5年を経過した日以後においては、更正決定などはできません(国通法70条1項本文)。その期間を「除斥期間」といいます。
一方、除斥期間の経過した後にされた徴収権の行使を認め、徴収権は時効によって消滅します。法定納期限から5年間行使しないことにより消滅します。
隣地通行権が認められるのは、土地が荒廃され、社会的な損失が生じることを防ぐためです。
2 公道に通じない土地とは?
「公道に通じない土地」の公道は、公衆の用に供される道路を指し、私道を含みません。
また、現に道路が存在する場合であっても、既存の通路では土地の利用に応じた利用にとって不十分であるときは、「公道に通じない土地」と評価されることがあります。
隣地通行権が認められるかどうかについて、最高裁平成6(2006)年3月16日判決・裁判所Webは、「自動車による通行を前提とすると210条通行権の成否及びその具体的内容は、他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、自動車による通行を前提とすると210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである」と判示しています。
さらに、道路に2m以上接するという建築基準法43条1項の接道要件を満たしていない土地について、最高裁平成11(1999)年7月13日判決・裁判所Webは、「建築基準法43条1項本文は、土地又は建物の所有権を取得して、接道要件を定め、営業等のために公法上の規制を課している。このような建築基準法43条1項本文は、その目的、手段等からみて、同一土地の所有者のために隣地の他の土地の上に無償の通行権が当然に認められると解することはできない」と判示しています。隣地通行権の成立及び内容について、接道要件を考慮すること自体は否定されていないと解されています。
3 有償通行権(原則)
(1) 隣地通行の場所及び方法
隣地通行権が認められるからといって、隣地の好きな場所を通行できるわけではありません。隣地通行の場所及び方法は、通行のための必要があり、かつ、隣地の所有者のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません(民211条1項)。
具体的には、権利を濫用したり、隣地を荒廃させたりすることはできません。
(2) 償金の支払義務
通行権者は、通行する土地の所有者の損害に対して償金を支払わなければなりません(民213条1項)。償金は、隣地に現実に発生した損害を賠償する性質と通行権の利用を償還する性質を併せ持ちます。
もっとも、通行権者は、償金の支払をしなかったとしても、隣地通行権を失わず、引渡しを請求することができます。隣地通行権は、公道に面するために認められる権利であり、償金の支払いを前提として認められるわけではないからです。
4 無償通行権(例外)
共有物の分割(3-4P178頁)によって公道に通じない土地が生じたときは、袋地の所有者は、公道に出るため、他の分割者の所有地のみを通行することができます(民213条1項)。
また、土地所有者が土地の一部を譲渡したことにより公道に通じなくなったときは、袋地の所有者は、公道に出るため、譲渡人または譲受人の土地のみを通行することができます(同条2項)。
これらの場合、償金を支払う必要がありません。通行権の発生を予期して分割地または譲渡した他の分割者の利益を保護するためであり、償金の負担を負わせるのは酷といえるからです。
POINT 1
袋地または準袋地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
隣地通行権の通行の場所及び方法は、通行権者のために必要があり、かつ、隣地の所有者のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
通行権者は、原則として、通行する土地の所有者の損害に対して償金を支払わなければならない。